小野市のトマト農家さんとコーヒー屋が本気で作った一杯ができるまで
「トマトとコーヒーを合わせてみませんか?」
今振り返ると、その一言がすべての始まりでした。
コーヒー屋として日々コーヒーと向き合う中で、地域の魅力をもっと発信できる方法はないだろうか。
そんなことを考えていた時、小野市でトマトを育てる農家さんとのご縁が生まれました。
そこで生まれたのが、
「地元のトマトを使った新しいコーヒードリンクを作れないだろうか」
というアイデアです。
最初は冗談のような話だったかもしれません。
しかし、その後の打ち合わせや試作を重ねる中で、私たちは本気でこの挑戦に向き合うことになりました。
美味しいトマトとの出会い
まず驚いたのは、トマトそのものの美味しさでした。
今回使用したトマトは、小野市の農家さんが大切に育てたものです。
一口食べると、
「甘い」
だけではありません。
その後に心地よい酸味が広がります。
さらに香りや旨味も豊かでした。
普段何気なく食べているトマトとは少し違う印象です。
コーヒーの世界でもよく言われますが、素材の品質は味を大きく左右します。
どれだけ技術があっても、素材が良くなければ限界があります。
逆に良い素材は、新しい可能性を見せてくれます。
このトマトには、その可能性を感じました。
「本当に合うの?」から始まった試作
とはいえ、トマトとコーヒーです。
最初から成功を確信していたわけではありません。
むしろ不安の方が大きかったかもしれません。
コーヒーの風味を活かしながら、トマトの魅力も伝えたい。
しかし、どちらかが強くなりすぎるとバランスが崩れてしまいます。
トマトを増やせばコーヒーが消える。
コーヒーを強くすればトマトが分からない。
想像以上に難しい作業でした。
試作を重ねながら、
「これは違う」
「もう少し甘みを活かしたい」
「酸味のバランスが難しい」
そんなやり取りを何度も繰り返しました。
見えてきたトマトとコーヒーの共通点
試作を続ける中で、あることに気づきました。
それは、
トマトとコーヒーは意外と似ている
ということです。
どちらも酸味が魅力のひとつ。
どちらも品種や育て方によって味が変わります。
そしてどちらも、生産者のこだわりが味に反映される農産物です。
最初は遠い存在に見えたトマトとコーヒー。
しかし向き合えば向き合うほど、共通点が見えてきました。
だからこそ、組み合わせた時にも自然な調和が生まれたのだと思います。
トマトコーヒーの誕生
そして完成したのがトマトコーヒーです。
名前だけ聞くと驚く方も多いかもしれません。
しかし実際に飲んでみると、
「思ったより飲みやすい」
「意外とコーヒーとして成立している」
という感想をいただくことが多くあります。
トマトジュースのような味ではありません。
まず感じるのはコーヒーの香り。
その後にトマトの自然な甘みや酸味が広がります。
私自身、初めて完成形を飲んだ時には、
「これは面白い」
と素直に思いました。
さらに生まれたトマトカスカラ
今回の開発で、もうひとつ大きな発見がありました。
それがトマトカスカラです。
カスカラとは、コーヒーの果実であるコーヒーチェリーの果皮や果肉を乾燥させたもの。
コーヒーとはまったく違う、フルーティーな風味を持っています。
そこへ今回のトマトを合わせてみたところ、驚くほど相性が良かったのです。
特にフルティカトマトの甘みは、カスカラの果実感と自然に重なりました。
トマトカスカラソーダは爽やかで夏にぴったり。
トマトカスカララテはスイーツのような味わいです。
私たちが調べた限りでは、この組み合わせは全国的にもかなり珍しいものだと思います。
作りたかったのは話題の商品ではない
今回の挑戦で目指したのは、
「変わったドリンクを作ること」
ではありません。
もちろん面白さはあります。
しかし、それ以上に伝えたかったのは地域の魅力です。
小野市には素晴らしい農家さんがいます。
手間ひまをかけて育てられた美味しい農産物があります。
そして、その魅力を新しい形で伝える方法があると思っています。
トマトコーヒーもトマトカスカラも、そのひとつの挑戦です。
小野市から生まれた新しい一杯
コーヒー屋だけでは生まれなかった。
農家さんだけでも生まれなかった。
お互いが本気で向き合ったからこそ生まれた一杯です。
もしかすると、これからさらに改良が加わるかもしれません。
新しい展開もあるかもしれません。
しかし間違いなく言えるのは、
小野市の農家さんとコーヒー屋が本気で作った一杯であること。
もしお店で見かけた際は、ぜひ一度味わってみてください。
その一杯の中に、地域の想いと挑戦が詰まっています。

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